レールシェルフが出来るまで その3

さて 「壁から 棚板だけ出ているように見える棚」は 仕組みだけは決めました。
壁に取り付け 棚板を支える土台と、それに取り付けた時 取り付けネジが見えないように出来る棚板で構成する・・・と。

言葉で書くと 簡単そうなのですが、それが中々現実のカタチになりません。

どのようなことでも同じだと思うのですが、一つ何かを成就しようと思う時 問題がいくつか出てきますよね。
それで、一番の問題を解決すべく 色々考えてやっとその解決策を思いついた!!・・・・と思ったら、そのために 又別の不具合が生じた・・・・・なんてことありませんか?


こんなお話を聞きました。
有るデザイナーの先生の課題で、学生達が 解決策を考えていた時のこと。

ほら! 雨の日に電車で傘が邪魔になりません?
ずっと 持っていなくちゃいけない。でも 結構 手がだるい。・・・面倒だし、邪魔だし、出来れば手を離しても傘が立っていてくれたら 便利でいい!

それで、有る学生はこんなことを思いつきました。
電車の床にスリットを入れます。そのスリットは 普通はゴムのようなもので両側からフタのように閉じられています。
雨の日は そこに傘をプスッと刺しておくと 倒れないので、手を離して乗っていることが出来ます!!これは便利!!
・・・・・と ちょっと思うのですが、どうでしょうか?

ほら、若い女性は 細い高いピンヒールのシューズを履いたりしますでしょう?
そのスリットには 傘だけじゃなくて そのピンヒールのシューズにもぴったり!!
きっと 皆さんがそこにヒールを挟んじゃって 電車の揺れと共に倒れる・・・・・・・と言う現象が起きるでしょうね!

問題を解決するのって 意外に難しい。
解決策は思いつくのですが、それが 他の不具合を生み出さないとも限らないんですもの。

・・・・・と言う訳で、久宝の新製品もああでもない こうでもない・・・・とウロウロオロオロしたのです。


・・・・・まだまだ続く・・・・・・。

レールシェルフが出来るまで その2

さて、その1でお話ししましたように、私達は「後から付けられるのに、壁から 棚板だけ出ている棚」を作ろうと思いました。

私達の会社は 昨年創業60周年に成りました。

創業者は 先の戦争から戻ってきて 無一文から今の工場を作り上げたのです。
当時は アルミの板から機械で型を抜き、プレスという機械でそれをはさんで少しずつ形を作り上げて、台所小物を作っていました。
例えば、お味噌汁などをすくう「しゃくし」、プリンやゼリーの型、計量カップや計量スプーン等々。
そして、その後 ホームセンター業界でものを売るようになってからは アルミの棚受けを作っています。

アルミの棚受けは日本では我が社だけしか作っていません。いわゆるオンリーワン商品です。
つまり、アルミを扱うのが得意なのです。

それで、私達は アルミを使ってその棚を作ろうと思いました。
色々な方法がある中、有る程度安価に作るため 「アルミの押し出し型材」と言うものを使うことにしました。
「押し出し型材」って 面白いんですよ。
ところてんを作っている所をご覧に成ったことがありますか?
型の中に ところてんに成る四角いかたまりを放り込み、後ろからぐっと押し出すと 前から細長くカットされたところてんが出てきますよね。
あれと同じようなものを想像してください。

円筒形の型があり その中は欲しい形にくりぬかれています。
そこに アルミのかたまりをほおり込み ぐっと圧力を掛けて押し出します。
すると、その型通りのものが ず~~~~っと長く長く出てくるという訳なのです。
そして、それを欲しい長さに切って使います。
そのように出てきますので 出来上がりは均等です。真っ直ぐ綺麗なものが出来てきます。
そんな方法を使おうと思いました。

さて、それで形です。
どうすれば 板だけ壁から出せるんでしょう?

色々話し合った結果、壁に何かを取り付けて 棚板を付けた時にはその取り付けたものが隠れるようにすれば良いと言うことに成りました。

じゃあ、どんな形が可能かしら?
色々案が出ても 分厚くなり過ぎたり 重くなっては行けません。
取り付けが複雑でも がっかりですね。

ああでもない、こうでもない・・・・・試行錯誤が続きます。
うううううむむむむむむ・・・・・。(>”<)

続きはまたね!!