レールシェルフが出来るまで アルミの心

アルミのレールシェルフは 「押し出し型材」と言う物で出来ています。

「ところてん」って ご存知でしょう? あれの作り方をご存知ですか?

四角い箱状の物が有って、その出口に 針金(?)を格子に張ってあります。

ところてんの塊を その箱状の物に押し込んで ぐいっと一突き。

すると 細長くカットされたところてんが出てくる・・・・と言うあれです。

アルミの型材も 同じように作ります。

直径 160mmほどの円筒に 欲しい形の穴をあけてあります。

アルミのビュレットと呼ばれる塊をその筒に押し込んで、グググググ〜っと圧力をかけると

その形の材が押し出されて出てくるという物です。

レールシェルフは それを凸凹2つの型材をはめ込む形で出来ています。

それがキチンと勘合(はめ合わせ)できるよう設計されています。

なあんだ、そんなら簡単だ〜〜〜と思いますでしょう? 私も思っていました。

でも、型は使うとやせてくる。・・・と言う事は そこから出てくる型材はドンドン太ってくるという事になります。

つまり、凸凹をキチンと作ると その内にどちらも太ってしまって 入らなくなるのです。

それで、今はまだ 少しゆるい目に作られています。

ゆるい目に作られている・・・・つまり、型材のままでは、棚がキチンと合わずにがたついている状態だということです。

困りますよね。

で、久宝では それがキチンとはめ込めるよう自分たちで作った道具で 調整をしています。

一本一本手作り状態で 調整をしているのです。

角の丸みについても 私達はそれが安定して同じようにきれいにできるよう、自分たちで機械を作っているのです。

最後は手磨き。

こうして 開発者と作業者の心意気の一杯詰まったレールシェルフが出来上がるという訳です。

毎日、皆さんのお部屋を かっこ良く素敵に飾れる事を願って 一所懸命 手作業を続けています。

レールシェルフが出来るまで その4


仕組みが出来上がってからも 色々な話し合いが続きました。
例えば・・・・・。

棚の横には プラスティックかゴムのキャップが要るかどうか 。
この写真では きれいにはさみ込みが出来ていますが、最初は中々このように行かなかったので
キャップできれいに見せようと思ったのです。


レールシェルフ断面


他の機能を付け加えるかどうか。
こんな簡単そうなことですが、一体 何度話し合ったことでしょう!


結論は・・・・・。
リサイクルも考えて 出来る限りシンプルにすることにし、プラスティックのキャップを付けないことにしました。そのために 構造を考え直しました。
小さなキャップですが、価格的にも そんなに安いものでもありませんしね。
でも、キャップを諦めたおかげで とてもきれいに出来ました!


また、その棚に 他の機能をつけるかどうか・・・・は最後の最後まで 迷ったのです。
便利に・・・・・と言う気持ちが有ります。
でも どうしてもごちゃごちゃして 美しく仕上げるのが難しいし・・・・。
価格の点も気になります。
そして、機能を付け加えると言う事は 使う場所がどんどん明確になる、つまり逆に言えば 「限定される」気がしたのです。

それで、思いきって 極端にシンプルな棚にしました。


面白いものですね!
そのシンプルな所が 大きな評価を受けて「インテリアライフスタイル 2007」という大きな展示会(29カ国 600社以上参加)の中で 他の大きな会 社や有名どころを押さえて この「レールシェルフ」が「JID Design Award(日本インテリアデザイナー協会賞)」という 超ビッグな賞を頂いたのですから!!
審査委員長の先生からは「日本の伝統的な そぎ落とされた美しさが有って、シンプルであるからこそ 生活のどんなテイストの部屋のどのような場面でも使える」と評価して頂きました。


私達は 靴を脱いで 天井が低くて狭い家に住んでいるという日本の状況に合わせた製品を作るつもりでした。
そんな、住まいの条件としては決して恵まれていない中でも より美しく楽しく幸せに暮らせるように、そのお手伝いをしようと思っていました。

色々な迷いも 「出来るだけ安く」と言う気持ちと「美しく」そして「ECO」も同時に考え合わせて・・・・・と言う 欲ばり製品開発から出たものでした。

欲ばって良かったのです!
大きな賞はそこを評価してくださっていたのですから!!


何だか、自慢のようになりました。
いいえ、でも 言いたかったのはそのようなことではなくって・・・。
コツコツと お客様のことを考えて物作りをしていただけなのですが、言葉でお話ししなくても ちゃんと見て評価をしてくださる方が有ると言う事が とても嬉しかったのです。


一杯おしゃべりしなくても 製品だけで 気持ちが通じたらそんなに嬉しいことは有りません。
でも、私はおしゃべりですし(!) もっともっと色々なことを聞いて頂きたくって
これからも 沢山のおしゃべりを致します。

もう少しおつきあいください!