随分昔の事ですが、テレビで「世界のびっくりニュース」のような番組をしていました。

ある人が とても素敵なチェストを買いました。
海外のもので、とても高価なものです。その番組では100万円とか言っていたように思います。
けれど,何年かたったある時 それが大変な事になっているのに気づくのです。
虫が出て チェストの裏側はボロボロになっていたのです。
木の中に虫がいたのに気づかずチェストが作られ 日本に来て それが出て来たというような内容でした。

「またまた センセーショナルな取り上げ方をして・・・・」と その番組に批判的な気持ちでいました。



「ヒノキの話 その1」の続きに戻ります。
実は そのTさんも 同じ事をおっしゃったのです。
ある時 結構大きな家具屋さんでチェストを買った。
それが 7~8年もしてから 虫が出て来た・・・とおっしゃるのです。

「土の日を知らなかったんでしょうね」

Tさんのお話では 暦上の「土の日」に 木を切ってはいけないという言い伝えがあるそうです。
その日には 卵を産むために虫が木に入ってしまっているのだそうです。

集成材の場合 高温で乾燥させるので 虫が死んでしまいそうなものなのに 卵は生きているんでしょうね。
何年もしてから出てくるなんて!!
そりゃあ,その虫だって 子孫を残すのに必死だという事なのでしょう。

残念ながら 日本でもそんな「土の日」の言い伝えが伝わらないでしまったところもあるそうです。
きっと 昔の日本人が 途方も無く長い時間をかけて経験で学んだだろう事をそれほどの事と知らずに伝えきれなかったところもあるんでしょうね。
私達は いつか 自分達の科学の力などが自然界にも大きな力を持っていると信じて 先人達が経験で学んだ大切な知恵を おろそかにして来ているような気がします。

Tさんは言います。
「今は 機械でものを作ったり 薬で虫を殺したりするけれど、
それでも 自然が我々の手に収まらない事はあるんです」